第一・第二腰椎、第二・第三腰椎(L1/2、L2/3)椎間板ヘルニアによる腰痛および左大腿部痛

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T.M.さん、38歳、男性

TMさんは腰痛および左大腿部の痛みを1月27日より患っていました。痛みは大変強く、歩くことはおろか数分間立つこともままならない状態でした。仰向け、うつ伏せそして右側を下にして寝ることも痛くてできません。左側を下にして寝るのが、比較的楽でしたが、長くはもちません。硬い座面のイスで、腰にクッションをあてがって座る姿勢が、そのとき一番楽な姿勢でした。

1月28日より4回、TMさんは当院のカイロプラクティック治療を受けました。腰椎、骨盤の関節である仙腸関節の動きのバランスを整え、腰部と左下肢の筋肉群に対してもアプローチしていきました。左の、いわゆる背筋である脊柱起立筋の働きをサポートするのに、キネシオテーピングでテーピングも行いました。治療中アイスパックも行い、セルフケアとしても行うこともすすめました。4回の治療を終えた時点でも依然として痛みが強かったため、TMさんの身体の状況を再評価し、整形外科を受診することを話しあいました。私は、TMさんの検査所見および治療経過を記した紹介状を主治医に送りました。

2月4日にTMさんは整形外科を受診し、その日にMRI画像を撮ることになりました。画像からは腰椎椎間板ヘルニアが第一・第二腰椎と第二・第三腰椎の間で認められました。日常生活をおくるのが困難なほど痛みが強いため、主治医はTMさんに椎間板ヘルニアを除去する手術をすすめました。TMさんは手術をしないことを選択すると、主治医は症状が改善するのに6-8ヶ月かかるだろうといわれました。主治医は硬膜外ブロック注射をし、2週間分の痛み止めと5日分の神経阻害薬を処方しました。

かくして痛みを薬でコントロールしながら、当院での治療が再開されました。私はこの時点で、彼の腰部と体幹の深部の筋肉群の強さ、柔軟性、安定性を取り戻すことを目的にエクササイズを紹介しました。より早期の回復のために、彼の生活習慣動作も見直しました―彼の座り方、寝方、彼が寝ているマットレスなどなど。彼はそれらを早速、実行されました。すると治療のたびに、彼の痛みが軽減し、可動域も改善していきました。実際、私からみても腰部の筋肉の緊張感や背骨の可動性が治療するごとに改善がみられました。8回目と9回目のセッションの間(3月1日から3月15日の間)には、ついに痛みが消えました。腰椎椎間板ヘルニアと診断されて、6週間でした。

TMさんは3月16日にあらかじめ主治医との診察の予約がありました。主治医は彼の回復に驚き、フォローアップのMRIを撮るようすすめました。すると、画像からは腰椎椎間板ヘルニアは依然として同じ場所に認められました。彼の背骨のバランスが整い、腰部の筋肉群や体幹深部の筋肉群の強さ、柔軟性そして安定性を取り戻したことで、彼の身体は椎間板ヘルニアがあっても脊髄神経や脊椎関節周囲の組織にダメージを与えることがなくなったのだと私は思います。

現在(2013年11月時点)、症状が改善して1年半年になります。現在、彼は身体に何か違和感があったり、どこか痛みがあったりするときに治療を受けに来ます。今回のような痛みの再発はありません。彼はスカッシュやフラッグフットボールなど様々なスポーツを楽しんでいるようです。この1年半の間に痛みなく富士山登頂した報告を受けたときは、とてもうれしかったです。

治療コメント

カイロプラクティック治療は、背骨を中心に身体全体のバランスを整えるのに効果的です。通常、当院の治療は、クライアントにうつ伏せになって頂き、一つひとつの脊椎関節を刺激し、両脚を上げることで身体の反応をみていきます。TMさんの場合は、痛みが強かった時期は治療方法を修正しました。座ったままの姿勢や横向きになった状態で背骨の動きを評価し、身体の反応は手首の筋肉を用いて治療していきました。腰部そして骨盤部の安定性、強さ、柔軟性を取り戻すのにエクササイズを行うことも治療計画に加えました。より早期の改善を目的に、生活習慣も一緒に見直していきました。そうして彼の身体のバランスがよくなるにつれ、症状は改善していきました。

TMさんのように、当院では患者さんとチームワークを組みながら治療していきます。私たちは患者さんの利益を第一優先に臨床にあたっています。現在患っている症状に対する治療はもちろんのこと、よりよい生活習慣が身につけられることも目指しています。良くも悪くも習慣が、身体をつくっていくことを、私たちは知っているからです。私たちは、健やかな心身を支える礎となる身体に備わる自然治癒力が、滞りなく十分に発揮されるようなバランスを目指しています。

治療担当:山田広志