妊娠期間中(29週)の左腰痛

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E.W.さん、39歳、女性

EWさんは当院にご来院される数日前より腰痛を患っていました。そして、ご来院2日前より痛みがきびしくなり、びっこをひきながらでなければ歩けないほどとなりました。担当産科医のご紹介で、当院にご来院されました。
初回

EWさんがご来院し、治療室へ移動されるとき、痛みのあまり壁に手をつきながら歩かれておりました。EWさんの話を伺い、早速、妊婦がうつ伏せに寝られるクッションを用いて、うつ伏せで治療を始めました。大きなところでは骨盤の関節である、左右の仙腸関節のバランスが崩れていました。また、その崩れたバランスを補うかのように腰の背骨である、骨盤とつながる腰椎5番と4番の動きが著しく制限されていました。腰だけでなく、肩甲骨と肩甲骨の間の背骨の動きも硬く、筋肉もはっていました。肋骨の動きも硬く、まさに満身創痍といっていい状況でした。治療後、痛みはまだ残るものの、だいぶ痛みが軽減されたご様子でした。
2回目

2回目のご来院時には、腰の痛みはご来院当初より軽減されているものの、まだ厳しいご様子でした。特に歩くとき、左足で踏み込むときに痛みが強くなるとのことでした。身体のコンディションは、肋骨とつながる背骨の部分である胸椎と肋骨が全体的にしなやかな動きを取り戻され、良くなっていました。骨盤もバランスはよくなってはいるものの、まだ左右のバランス、柔軟性、周りの筋肉の状態としては100%ではない状況でした。治療後、前回同様楽になられたご様子でした。
3回目

3回目のご来院される前日に、EWさんは遊園地へご主人と行かれました。まだ当初寒かったので、身体に応えたのでしょう、後日膀胱炎を患ってしまいました。ただEWさんはその遊園地のサービスに感激し、車いすに乗りながら、楽しまれたようでした。身体としてはまだ歩くときに痛む様子でした。骨盤のバランス、骨盤を支える筋肉群の柔軟性も向上しており、全体的には良くなっていました。より早く症状の改善を目的に、今回はキネシオテープを腰に貼らせてもらいました。
4回目

4回目のご来院時は、さらに歩けるようになっておりました。膀胱炎も快方に向かっているご様子でした。このときには、産後のことを考えてのエクササイズやケアして頂きたいことなどをご紹介させて頂きました。
5回目

5回目の来院時には、症状がすっかりよくなり、走れるようにもなっていました。私がみた感じでも、申し分ないコンディションでした。里帰り出産をされるご予定だったので、引き続き前回同様、よくお母様方から頂くご質問などをもとに色々とアドバイスをさせていただきました。

妊娠29週目から約2週間の治療期間でした。出産も自然分娩で、安産だったようです。里帰り中ももちろんのこと、産後数か月間腰痛の再発もなく、子育てを楽しまれているご様子です。

コメント

カイロプラクティックは、妊娠期間中も皆様の健康維持にお役に立てます。持病でどうしても薬を服用しなければならない場合や病気でどうしても薬を服用しなければならない場合以外は、あまり薬を服用したくないと、多くのお母さんが思うのではないでしょうか。カイロプラクティックは背骨を中心に全身のバランスを整え、私たちの身体にもともと備わっている自然治癒力が存分に発揮できるようサポートします。腰痛といった症状はもちろんのこと、身体の痛みの改善や予防にカイロプラクティックは大きく効果を発揮します。

妊娠期間中はお母さんの身体からリラキシンというホルモンが分泌されるおかげで、お母さんの身体の関節や靭帯が柔らかくなり、赤ちゃんの成長に対応できるようになります。もしお母さんが産前より慢性的な身体の症状を患っているのであれば、早めに身体を整えて頂くことをおすすめします。そして、よい身体のバランスの状態で、どんどん成長していく赤ちゃんを無理なく支えられるだけの筋力や筋肉の安定性、そして柔軟性を鍛えて頂くことで、妊娠期間中を痛みなく比較的ラクに過ごせるようになります。妊娠期間を上手に活用し、産前からの身体の癖や症状が改善されるお母さんもいらっしゃいます。

当院にはじめてご来院されるお母さん方の多くは身体に痛みがあります。症状の改善という点では、妊婦のお母さんは、平均して3-5回の治療で改善します。症状が改善されてからは、母子の健康のために2-3週間に一度でご来院される方が多いです。アメリカのAmerican Pregnancy Associationでは、妊娠期間中にカイロプラクティック受けることのメリットとして、1.妊娠期間中の健康維持 2.つわりの軽減 3.陣痛・出産にかかる時間の短縮 4.帝王切開率の軽減 5.腰痛、背中の痛み、首、その他関節痛の改善 を挙げています。当院の治療は関節を鳴らす施術はせず、やさしく背骨を整えていきますので治療中ふと寝てしまわれるお母さんがほとんどです。妊娠中でも出血、発熱、著しいお腹のはりがなければ、安心して治療を受けていただけます。逆子も、へその緒が短かったり、へその緒が絡まっていなければ、改善します。(今までお一人だけへその緒が短く正常の位置に回れなかったことがありました。)

妊娠期間中は、お腹にいるお子さんと一体となって過ごす、一生に一度の貴重な時間です。その貴重な時間を母子ともに健やかに過ごすのにお役立て頂ければ幸いです。

治療担当:山田広志